まだ全てが捨てられない

明日のことなんてわからない。
明日の明日なら尚更。


だけど、また、辿りついた。

今日も笑っていた。
昨日より少し、疲れていた。
理由は砂の絵のようにあやふやになった。

いつも通り、気がふれそうなまま。
大切なものなんて、悲しんでいるあなたくらいで。

 

さっきまで笑っていた。
でも、それだけだった。
心に振り回されて、息もできないあなたをただ見ていた。

手を伸ばしあっていた。
だけど繋げなかった。
「一生なんてありえない」、あなたはそれだけ言って俯いた。

 

適度に失って、適当に笑って、黙って殺しあう。
それが生きるってことだって誰かが言っていた。
大人になることに意味はない、ってなんとなく、思っていた。

 

さっきまで笑っていた。
でも、そこまでだった。
ひとりぼっちの私をかえしてくれたあなたと、少し溶けたアイスクリームを分け合う。


心だけが窓の向こうに飛んでいく。
なにかが狂いそうだから早く壊して。

 

つまらない時も笑う癖をやめたら、明日が少しでも確かなものに見えるのかな。
生まれ変わったら、笑わない人になろう。


白い粉を塗りたくるのにも、黒い羊でいるのにも疲れてきたんだ。
ナイフの隅のほうで傷ついた。
神様にわがままを聞いてもらおうとした。


かけた月に存在を見ていた。

 

水槽。


魚たちは数えきれないくらいぐるぐる死んでいくのに、水族館はずっと残り続けるなんて、それこそ、死んだかのように怖くなる。


でも、それがすべて。
私たちのすべて。